仮想通貨取引をして利益が出たときには税金がかかりますが、含み益の場合にはどうなのかが気になっている人もいるでしょう。
仮想通貨で取引を始めてから最初の確定申告の時期になると、どのように解釈したら良いかがわからずに悩む人も多く困ってしまうことも…。
この記事では含み益の税制上の取り扱いと、節税対策への応用についてまとめました。仮想通貨取引の利益をうまく生かす方法も紹介するので参考にして下さい。
仮想通貨取引で含み益が出ても税金はかからない
仮想通貨取引で含み益が出ただけでは原則として税金はかかりません。
日本では仮想通貨の利益確定をした時点で所得となって課税対象になります。仮想通貨取引の含み益や所得の考え方について、ここで正しい理解をしておきましょう。
含み益とは
含み益とは資産価値の上昇によって売却すれば利益が出る状態です。仮想通貨を購入した時点よりもレートが上がっていて、売却すると差益が得られる状況なら含み益があります。
例えば、1枚が100円のときに購入した仮想通貨が120円に値上がりしていたら含み益があります。10,000枚の仮想通貨を買っていたとしたら、含み益は(120円-100円)×10,000枚=200,000円です。逆に仮想通貨が値下がりをして資産価値が下がったときいは含み損と言います。
仮想通貨取引で含み益が所得になるタイミング
仮想通貨取引では利益確定をした時点で含み益がなくなって所得に変わります。仮想通貨取引で以下のような取引をしたときには含み損が所得になります。
- 仮想通貨の売却
- 仮想通貨での商品購入
- 仮想通貨による決済
- 仮想通貨と別の仮想通貨の交換
仮想通貨を売却して日本円や他の法定通貨にしたときに利益確定になるのは明らかでしょう。商品の購入やサービスの決済に使った場合には、その時点で法定通貨にしてから支払いをしたという解釈になるため、利益確定をしたと判断されます。
仮想通貨を別の仮想通貨に交換したとき含み益が所得になる点には注意が必要です。例えば、ビットコインをドージコインに交換したら日本の税制では利益確定をして所得になったと見なされます。
仮想通貨の交換は法定通貨を経由する取引というのが日本での解釈です。この例ではビットコインを売却して日本円にした後、さらに日本円でドージコインを購入したと判断されます。
所得になっても税金を納めなくて良いケース
仮想通貨の取引を通じて利益確定になったとしても、必ずしも税金を納めなければならないわけではありません。
課税所得がない場合には仮想通貨によって追加で納税すること不要です。例えば、働いていない人なら基礎控除の範囲内であれば課税所得がないので税金を納める必要はありません。
仮想通貨取引による利益は総合課税の雑所得になるのが一般的です。事業として仮想通貨取引をしている場合には事業所得になりますが、個人が取引をする場合には雑所得になる場合がほとんどです。
雑所得は給与所得や事業所得などと損益通算をすることはできません。しかし、雑所得同士であれば損益通算が可能です。例えば、海外FXによる利益・損失は雑所得になります。
仮想通貨の含み益を利益確定して10万円の利益を得たときに、海外FXで10万円の損失があったとすると相殺されます。この場合には課税所得がないので税金はかかりません。
仮想通貨の含み益があるときの節税対策
仮想通貨の含み益は税金を減らすのに活用できる場合があります。
節税対策としてわかりやすいのは、雑所得がマイナスのときには利益確定をする方法です。
例えば、ビットコインで損失が100万円あるときに、イーサリアムで200万円の含み益が出たとしましょう。この際にイーサリアムを100万円分だけ売却すれば、利益確定をしたにもかかわらず税金がかかりません。
雑所得では損失を翌年に繰り越すことはできないので、年末までに調整をして含み益の利益確定に伴う税金を減らしましょう。
少し高度な節税対策として、他の所得と合わせて税率が上がらない範囲で利益確定する方法もあります。仮想通貨取引の利益は総合課税の対象なので、給与所得などと合わせた課税所得に対して税率と控除額が決まります。
課税所得が一定の水準を超えると税率が上がるので、税率が上がらない範囲で利益確定をすると税額を抑えることが可能です。
まとめ
仮想通貨の取引で含み益が出た時点では税金を納める必要はありません。
売却や交換などによって利益確定をした時点で課税対象になります。含み益をうまく生かすと節税対策をして利益を最大化することが可能です。
他の雑所得も含めて、雑所得がマイナスのときに含み益を利益確定するのが理想です。税金が大きくなってしまわないように利益確定のタイミングをよく考えながら取引をしていきましょう。
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